5月16日に海浜幕張・打瀬の入り口にクリニックを開いてから、一か月ほどが経ちました。
少し雑談、昔話を書かせてください。
もう20年ほども前になりますが、当時、千葉大学医学部を卒業した学生のほとんどが、自分の大学の医局を選び、入局。
私の選んだ第2外科では、まず1年間、徹底的に臨床の基礎を叩き込まれます。そのあと2年間を、関連病院の外科に出向し、さらに実践を勉強していきます。
その出向先の病院に、これからお世話になりますと、あいさつに伺った時のことです。
初めてお会いした、外科のトップの副院長との会話です。
「君には、まず、何よりも大事な仕事がある。」
「はい。」、緊張して答えました。
「この病院の外科には、たくさんの患者さんが入院している。君は毎朝の回診前に、その患者さんの数だけ、冗談を考えてきなさい。」
「はい?」、少し、戸惑って、聞き返しました。
「君がこれから受け持つ患者さんたちは、病を患い、少なからず、苦しい思いをされている。
もし、君が患者さんの前で同じように苦しい顔をすれば、患者さんはどこに救いを見いだせるだろうか?
医師も苦しい思いをすることがあるやもしれない。しかし、それだからこそ、患者さんの笑いを心がけなさい。」
異論もあるかもしれません。しかし、長く現場で働いていて、多くの場面でこの言葉に助けられてきました。
私の座右の銘です。
今、診療を行っていて、患者さんの症状にあわせて、いろいろな検査をお勧めすることがあります。
もちろん、病気があれば早いうちに見つけて治すことが目的ではありますが、何よりも異常がなければそれを確認し、安心することが一番大事と思っております。
実際に検査を行い、「大丈夫でしたね。」あるいは「こうやって、治しましょう。」と説明した時の安心した患者さんの笑顔が、検査の目的です。 |